心筋SPECTの正常像と読影方法

要点
  • 心筋はSPECT像の読影が中心であるが、単に欠損の有無だけを読むのではなく、負荷と安静の比較、低下の範囲と程度、冠動脈との対応、心筋周辺の情報、アーチファクトの出やすい場所などにも注目する。
 

正常心筋像SPECT像

  • 各スライスでの欠損にまず目が行きやすく、欠損は重要な所見ではあるが、読影医としての着眼点があるので、順に記載する。

 

適切な画像か

  • 画質、不均一性、画像の歪みをみて不自然であれば次のような観点からみる。
    • 放射性医薬品の種類と投与量は適切か
    • 収集カウントは十分か
    • 投影像に異常はないか。シネ表示により見ると、体動、減弱(乳房,横隔膜,肝など)、腕の位置、肝胆の集積程度などがわかる。
    • 表示条件は適切か(上限と下限値、表示のスケールとカラーパターン)

 

心筋の情報

  • 心筋の欠損は誘発虚血か梗塞か
  • 低下の範囲と程度はどうか
  • 低下の範囲が冠動脈と一致しているか
  • 全体的な不均一性がないか
  • 肥大はあるか。不均等か全体の肥厚か。
  • 内腔拡大の有無

 

心筋周囲の情報

  • 右心負荷、肺集積などを見る。
  • 肺、肝、横隔膜、消化管、乳房、右室、右心耳などは、planarあるいは投影像で見やすい。
  • 腫瘍やリンパ節にも集積することがある。

 

定量データとの比較

  • Gated SPECTでは駆出分画や心室容積が視覚的に見た第1印象と一致しているかどうかも重要である
  • 最近では、様々な定量ソフトウェアが利用できるようになっており(QPS-QGS, Emory Cardiac Toolbox, 4DM SPECT, CardioBull, Heart Score Viewなど)それらの処理結果の特徴を踏まえて読影に活かすことができる。

 

心筋Tc-99m MIBIあるいはtetrofosminの画像

    [KN: 2010.08.01]

冠動脈多枝病変と高リスクの所見を読む

要点
  • 冠動脈狭窄が2枝あるいは3枝にある場合、常に複数の領域に心筋血流SPECTの異常がでるとは限らず、生理学的に最も虚血の強い領域が主な所見となる。
  • 多枝病変あるいは重症虚血を示唆する副次的所見がある。
 

異常の見られる範囲に注目する

  • 3枝病変の場合でも3枝の冠動脈領域すべてに欠損がでることは稀であり、SPECTでの多枝の検出率は報告にもよるが50-70%である。負荷誘発虚血においては、最大負荷量を規定するのは実際に虚血を起こしている「責任冠動脈」である。また、狭窄の強さが直ちに心筋血流の異常を意味しておらず、心筋SPECTの意義はむしろ生理学的に血流障害の有無や程度を把握することにある。
  • 複数の冠動脈領域に低下または欠損が認められ、虚血性心疾患の臨床的可能性が高い場合は、多枝病変を疑い冠動脈造影が勧められる。
  • 冠動脈造影が施行されている場合や、血行再建、血栓溶解などの治療後は、必ず狭窄所見と心筋血流を併せて評価する。
 

Tl-201洗い出しのび漫性の低下

  • Tl-201負荷の際(再静注法を用いない時)、多枝病変では心筋全体の洗い出しの遅延が認められ、洗い出し率の低下は多枝病変を示唆する。ただし、運動負荷量が少ない場合に洗い出しは低値になるので注意する。
  • 運動負荷Tl-201 SPECTでの洗い出し率の平均は3-4時間で40-50%である。
 

多枝病変あるいは重症虚血のその他の保険

  • Gated SPECTでの壁運動の低下
  • Gated SPECTあるいは心電図同期心プールシンチグラフィ、エコーなどでの駆出分画の低下、壁運動異常の範囲を見る。
  • 心室容積の拡大
  • 非特異的だが、心機能の低下に伴いしばしば認められる。
  • 一過性心内腔拡大
  • 負荷時の一過性拡大は視覚的にも診断できるが、ゲートまたは非ゲートSPECTでの容積算出値が参考になる。SPECTの場合、負荷時容積/安静時容積>1.2(報告により1.12~1.22)が上限となる。

3枝病変における一過性左室拡大の例:前壁の小範囲の低下がみられるが、負荷と安静での内腔の大きさに注意

 
心基部
心尖部
負荷時
安静時
  • Tl-201での肺集積の増加
  • 安静時の肺集積の増加は、心機能低下、左室内圧上昇による肺のうっ血に伴って認められる。心筋/肺の取り込み比>約0.45を異常と見なす。

[KN: 2010.08.01]

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