海外学会報告:第5回世界心臓核医学会
第5回世界心臓核医学会(ICNC-5)報告
玉木 長良(北海道大学大学院医学研究科・核医学)
2001年5月2日―5日にオーストリアのウィーンにおいて世界心臓核医学会(International Congress of Nuclear Cardiology)が開催された。この学会は2年に一度欧州でASNC, ESC, EANMの各学会の共催の形で開催され、今回が5回目となる。会場は王宮の中の宮殿のようなすばらしい部屋であった。
学会の出席者は1100名程度であり、前回1999年のアテネに比べてかなり増加していた。日本人登録者は103名であり、アメリカ156名、イタリア139名についで3位であり、地元オーストリアの54名(4位)を大きく越えており、事務局では日本からの多くの参加が高く評価されていた。
開会式は地元出身のDr Heinz Sochorの司会で、会長の一人のDr Manuel Cerqueiraが開会の挨拶を述べた。そこでは各国の人口当たりの心臓核医学の件数を報告した。欧州の件数は人口100万人当たり約2,500件程度であるが、米国ではその約6倍ととりわけ盛んである。ちなみに日本では人口100万人あたり約2,400件とまだまだ欧米の水準には達していない。これからの心臓核医学の発展のためには機器の改良や放射性薬剤の開発はもちろんのこと、なにより医師や技師の教育が重要であることを強調していた。開会式では四重奏団によるモーツワルトのディベルトメント(KV136)が演奏されたが、ハイレベルの演奏であり、さすが音楽の都であることを印象づけた。その後市庁舎に会場を移してパーティーが行われたが、そこも宮殿様式のすばらしい会場であった。
一般演題の多くは半日のポスター展示発表であったが、一部は口演での発表もみられた。(採択率は約90%程度と高かったと伺っている。)むしろPlenary sessionやDebate、How-to-Sessionなどの最新の話題提供や教育的な内容に多くの聴衆が集まっていた。最も参加者が多かったのは2日目朝のPlenary sessionのMolecular Imagingである。Dr William StraussがVulnerable plaqueとApoptosisの映像化に関する最新の知見を講演し,またDr Heinrich SchelbertがDNAやRNAをtargetとした映像化について講演していた。これからの心臓核医学のトピックスでもある内容に参加者は熱心に聞き入っていた。他のセッションではこれまでになく多くの日本人が特別講演や教育講演をしたり、司会を担当し活躍していた。また3日目にはYoung Investigator Awardの6題の発表があった。日本からは横浜労災病院の川村正樹先生によるTc-99m TetrofosminとTl-201検査のrandomized studyによる予後検討に関する報告が最終選考に残っていた。最優秀賞にはPhiladelphiaのDr Urbanの発表による家兎の虚血モデルでのAnnexinを用いた障害心筋の映像化に関する演題が選ばれていた。
機器展示もあったが、人の出入りがやや少なく寂しい感があった。会場の一部には各国の心臓核医学の活動報告が展示されていた。日本の活動は日本心臓核医学会事務局が作成していただいたポスターが展示されており、欧米の多くの参加者が立ち寄っていた。
ウィーンは観光のメッカでもある。多くの参加者は観光や芸術の鑑賞も十分堪能されたことと思う。私もエルグレコの特別展示とオペラ座の歌劇を楽しむことができた。
次回のこの学会の開催についてはメーカーの援助がかなり縮小しており、危ぶむ声があった。事務局で長時間にわたり相談した結果、ともかく2003年の4月28日から30日までフィレンツエで開催されることが内定した。もちろん日本企業からの支援や多くの参加者が期待されている。2003年に今回以上の実りある会が企画されることを念じる次第である。