第7回 日本心臓核医学会学術大会 抄録

 

シンポジウム
たこつぼ型心筋症(心筋障害)を検証する
- 核医学的検証を中心にして-

 

1)パニック障害における交感神経心筋イメージング

  
・鳥取大学医学部放射線部 田邉 芳雄


パニック障害は、病的不安を主症状とする疾患であり、「パニック発作」すなわち発作性に 主として自律神経症状、とりわけ動悸・心悸亢進・発汗・息切れ感・窒息感などの心臓呼吸器系の強い症状を伴うことを特徴とする.生物学的研究に基づくパニック障害の発生機序についてはいくつかの提唱がなされているが、このうちノルアドレナリン系の代謝の異常と本疾患の発症との関連が指摘されている。そこで我々は、 I-123 MIBG(MIBG)を用いてパニック障害患者における心交感神経機能の評価を行った。対象はDSM-IVに基づいて診断されたパニック障害患者9例で、MIBGシンチグラフィ胸部planar像での早期像(30分後)と後期像(4時間後)の心縦隔比(H/M)、及びwashout rate(WR)により評価を行った。その結果、パニック障害患者のH/Mは早期像(1.8±0.16)・後期像(1.86±0.3)ともに健常者の早期像(2.17±0.15)・後期像(2.29±0.04)に比して有意に低値であった(p<0.05)。また、WRはパニック障害患者(33.8±6.9%)は健常者(27.8±3.6%)に比して有意に高値であった(p<0.05)。これらの結果は、パニック障害患者の自律神経機能障害を反映したものと考えられるが、現時点ではパニック患者におけるMIBGの心集積異常のメカニズムについては十分な検証はできていない。しかしながら、MIBGシンチグラフィは類似の症状を来す疾患とパニック障害の鑑別に役立つ可能性があり、また治療後の経過観察にも有用ではないかと考えている。本シンポジウムのテーマであるたこつぼ型心筋症を合併したパニック患者の経験は有していないが、精神的なファクターとの関連が指摘されているたこつぼ型心筋症を検証する上で、パニック障害についての我々の経験が役立てば幸いである。