第7回 日本心臓核医学会学術大会 抄録

 

シンポジウム
たこつぼ型心筋症(心筋障害)を検証する
- 核医学的検証を中心にして-

 

4)PETによる検証

   ・国立循環器病センター放射線診療部 石田 良雄、福地 一樹
   ・国立循環器病センター心臓内科 桜木 悟、野々木 宏


急性心筋梗塞様の臨床所見を呈するが急性期冠動脈造影で異常所見がなく、左室造影で心尖部(心筋全周性)に一過性ながら高度な収縮不全が観察される症例に対して、その収縮異常の形態的特徴から「たこつぼ型急性心筋障害」という命名が行われる。基礎病態は不明であるが、上記臨床所見のもとでは、?急性冠閉塞の自然再疎通、?多枝冠攣縮発作、?微小冠血管攣縮発作、?カテコラミン刺激作用などが含まれる可能性がある。収縮不全の病態は、?から?では「一過性急性虚血と再灌流による収縮障害(気絶心筋)」と解せられ、?ではカテコラミンによる直接的な心筋障害と解せられる。?はその収縮障害の形態的特徴を説明できないこと、?はエルゴノビン負荷あるいはアセチルコリン負荷冠動脈造影で冠攣縮が誘発されないことから否定的であり、現在では?と?の可能性が注目されている。
 我々は、たこつぼ型心筋障害9例において、核医学検査(血流像、BMIPP像、MIBG像)の亜急性期(発症1週間以内)から慢性期(発症1ヵ月から1年)への変化を観察し、何れの症例でも急性虚血・再灌流に非常に類似した変化を認めた。さらに、ジピリダモール負荷・安静時N-13 ammonia PETによる冠血流予備能(CFR)の計測を行ったところ、収縮不全が消失した発症後1ヵ月目でも心尖部にCFR低下が残存していたが、その後約5ヵ月後の再検査では正常化した。かかるCFRの時系列変化は、冠攣縮性狭心症の場合にも認められるものであった。以上の結果から、「たこつぼ型心筋障害」の病態は、一過性急性虚血が心尖部を中心とした局所領域に出現し高度な収縮障害(気絶心筋)とジピリダモールに対する冠拡張反応の低下を惹起すること、そして前者は回復が速やかであるのに比して後者は比較的遷延する傾向にあることが示唆された。但し、この虚血関与説での疑問は、ほとんどの症例でその後の再発作が観察されないことである。これには、心尖部MIBG欠損像(交感神経障害)の
回復が非常に乏しいことと関係しているのかもしれない。