第7回 日本心臓核医学会学術大会 抄録

 

シンポジウム
たこつぼ型心筋症(心筋障害)を検証する
- 核医学的検証を中心にして-

 

たこつぼ型心筋症の臨床経過と長期予後
    -冠動脈造影、左室造影からの検証-

   ・社会保険小倉記念病院循環器科 吉田 善紀、木村  剛、静田  聡、貝谷 和昭
                         岩淵 成志、中川 義久、横井 宏佳、
                         浜崎 直也、野坂 秀之、井上 勝美、
                         延吉 正清

背景と目的:たこつぼ型心筋症は心電図ST上昇、陰性T波を認め、左室壁運動が心尖部を中心に低下する疾患と定義されるが、その臨床経過、及び長期予後は明らかではない。
方法:当院にて平成7年月日より平成12年月日までの間に50例のたこつぼ型心筋症症例を経験した。その急性期臨床所見、冠動脈造影検査、左室造影検査所見および長期予後について検討した (発症後の平均フォローアップ期間は28.2月) 。
結果:当院における50症例のたこつぼ型心筋症の症例は男性21例、女性29例で平均年齢は63+/-20歳であった。最大血中CPK値は866.8 IU/lであった。30例(60%)は心不全の合併のためカテコラミンの投与を必要とした。心不全に伴う呼吸不全のため気管内挿管治療を必要とした症例は8例(16%)、大動脈バルーンパンピング(IABP)による循環補助を必要とした症例は7例(14%)であった。急性期に左室造影検査は44例(88%)に施行され、平均左室駆出率は47.3%であった。冠動脈造影は49例(98%)に施行され、冠動脈に有意な狭窄を有する症例は5例(10%)であった。たこつぼ型心筋症50例中47例は生存退院したが、3例の院内死亡を認めた(心原性ショック1例、消化管出血1例、肺炎1例)。5例の症例に遠隔期左室造影検査が施行され、全例に左室駆出率の回復が認められている (平均左室駆出率60.2%)。発症後のフォローアップにおいて28.2ヶ月で2例にたこつぼ型心筋症の再発のため再入院を必要とした。遠隔期心エコー検査の平均左室駆出率は69.8+/-11%であった。
結語:たこつぼ型心筋症は心電図変化を伴った左室壁運動障害をきたすがその心機能低下は一過性で臨床経過は良好であるが、急性期にポンプ不全による高度の心不全をきたす症例も存在する。また長期予後も良好だが、たこつぼ型心筋症の再発をきたす症例も存在する。