第7回 日本心臓核医学会学術大会 抄録

 

シンポジウム
たこつぼ型心筋症(心筋障害)を検証する
- 核医学的検証を中心にして-

 

病理学的検証

   ・順天堂大学医学部循環器内科 河合 祥雄

たこつぼ型心筋症は、?急性心筋梗塞を疑わせる症状で発症、?心尖部のバルーン状の無収縮と心基部の過収縮、?心電図での ST上昇後のT波逆転・QT延長、?心筋逸脱酵素の僅かな上昇、?冠状動脈有意狭窄・攣縮の欠如、?心室収縮、心電図、酵素、心筋シンチグラム所見などの比較的速やかな正常への回復、?高齢女性に好発(男性の7倍)、?緊急冠状動脈造影施行例の2.3%もの高率、?情動ストレスが誘因(女性では精神的ストレス、男性では肉体的なストレス優位)となる例があるなどの臨床的な特徴を持つ。本症は決して稀な病態ではなく、報告施設での最頻値は5例、数十例を超える施設もある。しかし、その原因、機序の全てがほとんど解明されていない。
 現在までに、発症要因として、冠攣縮後の心筋気絶、心筋微小循環障害(攣縮)、心筋炎、心臓交感神経の過剰反応(障害と亢進)、神経液性因子の関与、心膜心筋炎に起因する冠攣縮+心筋脂肪酸代謝障害などが疑われているが、定説はない。
【対象と方法】全国諸施設より検鏡を許された心筋生検11例の病態・組織所見、剖検例4例の心室病変を検討した。
【結果】組織学的には個々の心筋細胞の変性から巣状障害脱落、反応性の細胞浸潤を認めた。経時的に生検した症例では時間経過で線維化に移行した。また、剖検例では心筋病変は明かで、分節化、障害心筋細胞の萎縮融解、また障害心筋に対しての円形細胞浸潤像が見られた。
【考案】たこつぼ型心筋症では、細胞浸潤を伴う巣状・斑状線維化や好酸性染色性の亢進、筋収縮帯形成、融解などの単一心筋細胞障害像、それらの集簇像がみられた。
【結語】本病態は、当初は多枝攣縮による気絶心筋の臨床例と考えられたが、この心筋気絶説・心筋微小循環障害(攣縮)説は、臨床的(慢性期の冠攣縮誘発率約1/3、一過性の左右心室流出路閉塞)ならびに病理組織像の存在から否定的である。