第7回 日本心臓核医学会学術大会 抄録

 
パネルディスカッション
PETによる心疾患の評価
-PETの魅力・臨床医へのメッセージ-
 

4)局所心筋血流の自動計測をする

   ・鹿児島大学医学部第1内科1) ・北海道大学大学院医学研究科核医学2) 
   ・北海道大学大学院医学研究科トレーサ情報解析学3) 
   吉永 恵一郎1,2)、加藤 千恵次3)、久下 裕司3)、玉木 長良2)

O-15標識waterは拡散性のトレーサで極めて生理的なトレーサである。部分容積効果の補正についても十分な検討が行なわれており高血流でもリニアリティが高い。また半減期が2分のため10分間隔を置くことで検査を繰り返すことが可能である。これらの特徴からO-15標識waterは心筋血流量の計測として理想的なトレーサといわれている。しかしながら、データ解析は複雑かつ時間を要していた。そのため一部の施設において研究目的で使用されているのが現状である。
 我々はO-15標識water PETの臨床応用を目的としてデータ処理を簡便に行なう局所心筋血流量測定プログラムの開発を行なった。
 虚血性心疾患22例。安静時に引き続きATP投与時にも心筋血流量を計測。左室心筋を16領域に分画し自動的に計測し、polar map上に表示した。本プログラムにより約30分で心筋血流量のデータ解析が可能であり、高い再現性(r=0.897)を持つデータ解析が可能となった。更にこのプログラムを用いて臨床応用を行なった。
 治療により脂質がコントロールされている高脂血症例で正常冠動脈領域(Remote領域)の心筋血流予備能が低下しているか検討。高脂血症患者11例。
全例脂質低下療法を施行し、LDL 130mg/dl未満にコントロールされている。CFRは患者群で有意に低値 であった(2.26±1.0 vs. 3.90±0.98, p<0.01)。
 喫煙者18例について寒冷刺激試験下の血管内皮機能を測定。血流増加反応は健常者に比べ有意に低値であった(0.65±0.12 vs. 0.87±0.12, p<0.05)。
O-15標識 water PET検査において、我々の開発したプログラムを用いれば簡便に心筋血流予備能、血管内皮機能を計測することが可能である。CFR、血管内皮機能の評価からリスクファクターを持つ症例の病態を把握することが可能になった。今後リスク管理、治療評価にO-15標識 water PETが広く応用されていくことが期待される。