放射性医薬品による副作用と被曝線量

要点
  • 一般に放射性医薬品による副作用の発現率は十分に小さく、10万件あたり1.5件程度である。
  • 被曝を必要最小限に抑えることは、放射線を用いる検査の基本である。
 
  • 日本アイソトープ協会医学薬学部会放射性医薬品安全専門委員会では毎年副作用事例調査を施行しており,2005年の報告(核医学2005; 42:33-45)で29回となっている。
 

副作用は10万件あたり1.5件

  • 報告された放射性医薬品の全投与件数は1,357,419件であり,副作用の発生率は0.0015%で10万件あたり1.5件となる。不良品発生率は0.0003%で10万件あたり0.3件となる。
  • 米国核医学会の局方委員会報告(18施設)では10万件あたり2.3件,欧州核医学会(EANM)では10万件あたり11件であるが,これらの調査では血管迷走神経反応はあらかじめ除外されている。

SPECTに関連する放射性医薬品の被ばく線量 (mGy/37MBq)

 
全身
精巣
卵巣
Tl-201
1.00
2.20
2.50
Tc-99m RBC
0.12
0.27
0.16
Tc-99m tetrofosmin
0.14
0.09
0.52
Tc-99m MIBI
0.09
0.12
-
I-123 BMIPP
0.37
0.28
0.41
I-123 MIBG
-
0.20
0.30
  • 妊娠中に施行された検査に対する考え方については、別項参照

[KN: 2010.08.01]

小児における放射性医薬品の投与量

要点
  • 成人における核医学検査と同様に、小児においても核医学検査が適応となる多くの疾患や病態がある。検査法も基本的には成人と同様であるが、小児に特有の考慮すべき要素をあげる。
 

放射性医薬品の投与量

  • 放射線を用いるあらゆる検査に共通する点ではあるが、一般的には被曝線量はできるかぎり少なくすることが望ましい。しかし、一方では診断に十分な画質と定量データを出せないのであれば、本来の目的を達成できないことになる。小児の投与量計算にはいくつかの提案があるが、体重当たりの投与量計算(MBq/kg)では不十分であり、筆者らは目安として以下のように考えているが適宜増減する。
年齢
投与量
1-5歳
1/4
5-10歳
1/2
10-15歳
3/4
15歳以上
成人と等量
 

子供の臓器は小さい

  • 対象とする臓器が小さいため、高分解能のイメージングが期待される。SPECTであれば、不十分な分解能では心内腔が小さくなり、心筋各セグメントや左右心室が分離できなくなる。また、 gated SPECTでの定量を行う場合でも内腔の過小評価は駆出分画の過大評価にもつながる。対策としては高分解能のコリメータの利用や撮像時の拡大収集などがあげられる。またカメラを近接させることも分解能の向上に役立つ。
 

子供は動く

  • 子供の検査では体動の影響が大きく出るため、良い画質を得るために十分な注意を払う。おとなしそうな子供でも恐れのために急に動くこともあれば、よく寝ている乳児が突然に体を伸ばすこともある。従って、安心できる環境をつくる同時に、必要であれば短時間の効果を有する鎮静剤を用いて安静を維持できるようにする。軽度の体動であれば体動補正ソフトウェアも用いる価値はあるが、まず検査中に動かないように留意する。
 

説明と患者/保護者の協力の重要性

  • 子供の場合でも親切な説明は検査の成功に不可欠であり、本人だけでなく保護者の理解も重要である。検査中に親に横にいてもらうこともできる。特に核医学検査による被曝に関して神経質になっている親もあるため、具体的に答えられるようにしておく。検査のリスクは、検査をしないことのリスクよりも小さいことを説明できる。

[KN: 2010.08.01]

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